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経営戦略としての女性リーダーの育成

日本において、女性活躍推進はダイバーシティ経営の最も重要なテーマです。なかでも女性管理職比率の増加は、最重要課題となっています。女性活躍推進法は、企業に女性管理職の数値目標の設定とその達成に向けた行動を強く求めています。
実際に本気で取り組む企業では、女性管理職を育成するために計画的・多面的なプログラムを実施し、確実にその比率を高めています。

単なる数字合わせや、ポジティブ・アクション(積極的格差是正措置)のような法律があるから行うという「守りのダイバーシティ」ではなく、女性の潜在的な力と可能性を信じ組織貢献する女性を増やすという「攻めのダイバーシティ」として取り組んでいるからこそ、望む変化を手に入れているのです。

女性リーダーを育成する経営効果

女性管理職比率の設定や増加施策に懐疑的な企業からは、女性管理職やリーダーの増加がどのように経営効果を生むのか、取り組んだ結果どのような成果が表れるのか、と聞かれることが多々あります。その因果関係を証明するのは大変難しいことです。また、女性管理職育成には時間がかかるため、1年、2年でその成果が現れる訳ではありません。しかし、近年の研究では、組織の意思決定層に女性が多く入っている企業のほうが、利益率が優れているということが明らかとなっています。
また、近年急速に広まっている、ESG投資(環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の視点に配慮した投資活動)においては、女性活躍やダイバーシティを推進している企業であるかどうかは重要な指標となっています。米国のインデックスプロバイダーであるMSCIは、日本株の時価総額上位500銘柄の中から、業種毎に性別多様性に優れた企業を選別して構築した指数として、MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)を開発し、投資家に提供しています。

日本企業にとって女性管理職の登用・女性リーダーの育成は、もはや「できる・できない」ではなく「やるか・やらないか」という、という重要な経営課題なのです。

「女性活躍推進の経営効果について」(PDF)

女性リーダー育成の課題

女性リーダーの増加が重要な経営課題とされながら、なかなか進まない背景には次のような要因が考えられます。

そもそも適切な人材がいない、育成に時間がかかる

一般職・総合職などのコース別人事制度により職種や経験が偏っていたり、長期的なキャリアを視野に入れた育成をしてこなかったため、管理職候補となる適切な人材がいないという企業は少なくありません。そのような企業は採用や配置転換・昇進・昇格など長期的な育成計画をたてるところから始める必要があります。
また、管理職候補となる層に女性がいない企業では、ロールモデルの不在も課題となります。
対象となる女性を増やすための長期的な育成計画が必要となりますが、一定の時間がかかるため、取り組んでもなかなか成果が出ない→成果が出ないので効果がないと諦めてしまう→だから女性が育たない、という悪循環になってしまうのです。
「女性リーダーを増やす」と決めたなら、結果が出るに時間がかかると腹をくくり、それまでやり続ける、という覚悟を持って行わなければなりません。

キャリアのカベになる女性特有の意識・思い込みがある

女性にはキャリアの障壁となる特有の意識があります。代表的なものには以下の3つがあります。

まず1つ目は、まだ起こってもいない将来に対して漠然とした不安や恐れを持つ「先取り不安」。
2つ目は自分でタイムリミットを決め「30歳までには」とか「子どもが出来るまで」と短いスパンでキャリアを考える「締め切り意識」。

そして3つ目は「インポスター(詐欺師」症候群」。何かを達成しても誰かにほめられても、それを素直に受け取れず、自分の力ではなくただ運がよかっただけだとか、本当の自分はたいしたことがないのだと、自分を過小評価してしまう心理状態をいいます。

リーダシップに対するアレルギーや諦めも、その根底には自分に対する自信のなさ、自己尊重感の低さも影響を与えていると考えられます。だからこそ、自分への信頼を取り戻し、自己尊重感を高め、リーダーや管理職になることへのポジティブなイメージをもてるように意識づけすることが重要です。女性の自律的キャリア意識を醸成することは、女性リーダーを育てる第一歩です。

上司の育成マインドが整っていない

女性管理職を育成するためには、上司の意識も重要です。

現在管理職となった女性の多くは、その管理職になった理由に「やりがいのある仕事と出会ったこと」や「自分を育成してくれた上司の存在」をあげています。女性部下を励まし、背中を押しながら、時には厳しく鍛え、しっかりと成果を出せるよう育成する上司がいてこそ、女性は一歩踏み出す勇気をもって行動を起こすのです。上司が意識的に女性部下育成を行わない限り、女性管理職の増加はあり得ないと言っても過言ではないでしょう。スポンサーとしての自覚的・主体的かかわりの強化は不可欠です。

リーダーとして必要なスキルや経験が不足している

上記のような理由から、女性はリーダーや管理職になるための経験やスキルが不足していることが多くあります。業務に関する知識や専門性、スキルは仕事の経験を通して身に付いていきます。特に結婚・出産前の若い時に、配置転換や異動などを行い、複数の部門を経験させることは重要です。機会を与え経験を積ませることこそが、成長の原動力となります。2年を1つの単位として考え、10年を目安に、早めにリーダー的仕事を任せることで、自分が管理職となるイメージがわいてきます。結婚・出産もこの中に組み込んで考えると、長期的な自分のキャリアが考えやすくなります。

ワークライフバランスの実現に不安がある

女性のライフイベントは男性に比べ複雑です。結婚・出産・育児・家事・介護・夫の転勤など様々な要因がキャリア形成に影響を与えています。

男は仕事、女は家庭という性別役割分担意識も、自分の役割や可能生を狭める要因になっています。長時間労働、不規則労働がまだまだ当たり前と考えられている職場では、どんなにキャリア意識をしっかりもった女性でも、多かれ少なかれ、ワークライフバランスの悩みをもっています。その影響は男性の比ではありません。だからこそ、逆転の発想が必要となります。

働く場所や働く時間、働き方を柔軟に捉えなおすことで、育児中の女性であってももてる力を発揮し組織に貢献することは十分可能です。女性リーダーの輩出には、働き方改革とそれに伴うワークライフバランスの実現は不可欠です。

 

女性管理職増加 成功の秘訣

女性管理職育成に着手し、確実に成果を出している企業には共通する3つの特徴があります。

女性同士のネットワークやメンター制度などの相談体制を充実させ、女性リーダーが孤立しない仕組みをつくっている

1つ目は、少数派である女性リーダーが社内で孤立しない仕組みをつくっていることです。
女性は組織の内外で自分を支援するネットワーク作りを行う機会が男性よりも少ないと言われています。組織で「点」として存在している女性リーダー同士のネットワークを強化することで、孤立しない仕組みづくりに注力しています。また、メンター制度のように、経営幹部層が女性を育成・支援する関係性を作ることで、相談しやすい環境を整えています。

上司が明確にスポンサーシップを発揮し、現場で育成している

2つ目は、上司が部下のキャリア開発に責任を持ち、女性管理職誕生のためのパイプラインをつくっていることです。女性部下の強みと弱みを理解し、どのような要素を伸ばしていけばよいのかを考え、明確な育成計画にそって、日々の業務の中で成長の機会や経験を与えられています。また定期的な面談を通して、部下のキャリア意識や成長について適切なフィードバックを行っています。

働き方改革に取組み、社員の働きやすさと働きがいの両輪をまわしている

3つ目の特徴は、ダイバーシティ推進の一環として働き方改革に取組み、男女に関わらず社員の働きがい・働きやすさを促進する制度や仕組み、環境作りに積極的に取り組んでいることです。特に育児・介護などのライフイベントをサポートする仕組みや職場でのコミュニケーションの促進は、制約を持つ社員が、組織に貢献しながら長期間働き続けるための重要なカギとなっています。

 

クオリアの女性リーダー育成プログラムの特徴

クオリアでは、長年、ダイバーシティや女性活躍推進を支援してきた結果、女性のリーダーシップ開発に不可欠な要素を図のように定義しています。特に土台となる自己理解・キャリアビジョンの構築は、スキル獲得以上に重要な要素です。揺るぎない自分の「軸」を確立する為に開発したリーダーシッププログラムは、多くの企業様から高い評価を頂いています。

女性のリーダーシップ開発に必要な要素


ALL rights reserved Qualia inc.


クオリアの女性リーダー育成プログラムは次の3つの視点を重視しています。

  1. 女性リーダー育成のパイプラインを確立する為の体系的なプログラムを提供します。
  2. リーダーとしてのマインドとスキルの獲得と自律的なキャリアビジョン構築をめざします。
  3. 経営幹部や上司を巻き込み、メンター・スポンサーとして意識的に育成するための関わりを強化します。

近年ニーズが増えているのは、プロジェクト型や問題解決型の長期的な研修です

特に、上司・女性部下合同研修を組み込んだアクションラーニング型の研修は、双方に良い効果をもたらしています。研修期間中は、専門家が実践行動を支援するオンライントレーニング『アクションフォー』や、経営層を交えたワールドカフェ(対話型ワークショップ)や個別面談などをを組み込み、きめ細かな支援を行います。研修終了後の女性や上司の意欲や行動が大きく変化するなど、導入企業様からご好評を頂いています。

「女性リーダー育成:上司・部下合同プログラム」(PDF)

女性管理職登用の状況は、業界や職種によっても大きく異なります。長年多くの企業をご支援してきたクオリアでは、貴社のニーズや現状の課題、将来のありたい姿を踏まえ、最適なプログラムを提供します。

女性リーダー育成研修のモデルプラン

女性リーダー育成プロジェクト


【ねらい・特徴】 自分の強みを活かしたリーダーシップのスタイルとマネジメントに必要なビジネススキルを獲得します。
ネットワーキングを促進し、信頼と協力による相互支援の関係を強化します。
組織意思決定力を発揮し、実際の課題解決に取り組みます。
本対象者は、自社のロールモデルとなることをめざします
【内容概略】 ■自分らしいリーダシップを確立する
■自己理解を深める
・思考・行動特性を知る
・リフレーミング思考
・ネットワーキング
・メンタルタフネス
■自分の強みを最大化する
■組織意思決定力を身につける
■アクションラーニングによる課題解決演習
■経営層への発表
【期間】 6ヶ月~8ヶ月間 計5~8日間(カスタム可)
*研修期間中、フォローアップツールとして、オンライン行動変容ツール『アクション・フォー』を活用

管理職候補女性社員向け研修


【ねらい・特徴】 ・自らの責務とキャリアのあり方を再考し、キャリアの充実と組織への貢献の延長線上に存在する"リーダー"へのチャレンジ意欲を喚起します。
・意識と行動をワンランク上に上げるためのスキルとマインドを獲得しま
【内容概略】 ■組織の中の自分の役割を知る
■自己理解・他者理解を通して、自律的なキャリアビジョンを描く
■ロジカルコミュニケーションを身につける
■周囲の巻き込み方・影響の与え方
■3年後のアクションプラン作成  
【期間】 2日間~(カスタム可)

一般職女性向けキャリアデザイン研修


【ねらい・特徴】 自己理解を深め、長期的なキャリアビジョンを描きます。
自己理解から自己効力感を高め、課題をクリアする勇気と行動力を引き出します
【内容概略】 ■ビジネス環境の変化と働く女性の今後
■自分の壁(課題)の乗り越え方
■自己理解
■ロールモデルと語るキャリアの軌跡
■コミュニケーション力
■キャリアデザイン
■行動の車軸を描こう‥など
【期間】 2日間(カスタム可)

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