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【月刊アクセス埼玉掲載】DEI経営で人材危機を乗り越える!定着率とイノベーションを生む組織づくり

投稿日 2026年03月09日

「優秀な人材どころか必要な人材さえ採れない」「採用しても定着しない」――多くの中小企業・大企業の人事担当者が抱えるこの「人材危機」は、もはや従来の小手先の採用手法では解決できません。人材定着とイノベーション創出の鍵となるのが、一人ひとりの多様性と公平性を尊重する「DEI経営(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)」です。

【本記事の出典・掲載誌情報】
本記事は、公益財団法人埼玉県産業振興公社様が発行するビジネス情報誌「月刊アクセス埼玉(3月号)」の特集記事を、同公社様のご厚意により全文転載しております。
※同誌のWEBサイト上では公開されていない、当サイト限定の特別公開コンテンツです。

組織の「現在地」を知り、経営をアップデートするためのヒントとしてぜひご活用ください。

【特集記事全文】DEI経営で人材危機を乗り越える

なぜ今、DEI経営に取り組む必要があるのか

「優秀な人材どころか必要な人材さえ採れない」「ようやく採用しても定着しない」、多くの企業から聞こえてくる切実な声です。「企業が人を選ぶ時代」から「人が企業を選ぶ時代」へと変化する中で、この「人材危機」を「人手不足」や「少子化」といった外部要因だけで捉えてしまうと、問題の本質を見誤ってしまいます。なぜなら、人材危機の本当の理由は、働き手の価値観が大きく変わっているにもかかわらず、組織運営が過去の延長から抜け出せず、現実にそぐわなくなっているからです。今、経営の土台そのものを見直す動きが高まっています。

そのカギとなるのが多様性 (D/ダイバーシティ)・公平性(E/エクイティ)・包摂性 (I/インクルージョン) を基盤としたDEI経営です。

DEIとは、多様な人材が存在するだけでなく、一人ひとりが公平に扱われ、組織の一員として尊重され、その力が生かされている状態を目指す考え方です。かつては人材を効率的に管理する資源として捉える「人的資源管理」が主流でした。「新卒・男性・日本人」という人材モデルを中心に「長く働く・いつでも働く・どこでも働く」という働き方を前提に、性別・年齢・国籍等属性の違いや、育児・介護・障がいといった個人の事情は、区別されたり排除されることもありました。

しかし近年は、知恵や経験、アイデアといった人から生まれる価値が競争力の源泉となり、人材を「資源」ではなく「投資すべき資本」 として捉える「人的資本経営」が重視されるようになりました。環境が変わったからこそ、従来のモデルをそのまま維持するのではなく、働き手の多様化を前提とする経営へのアップデートが求められているのです。

特に若い世代の価値観は大きく変化しています。ある調査では、Z世代といわれる就職活動中の学生の9割以上が「D&Iを推進する企業に好感を持てる」と回答し、「年収が多少低くてもD&Iに積極的な企業で働きたい」 と答えた学生も7割近くに上っています(出典: 人事ポータルHRpro)。

多様性を重視しない企業は、「働き方の柔軟性が乏しく個人が尊重されにくい」という印象を与え、敬遠される傾向が強まっています。

一方で、DEIを「採用に有利だから」と短期的な視点で捉えてしまいますと、思うような成果に結び付きません。DEIの本質は、働く一人ひとりの「個としての尊厳(人権)」を尊重し、不当に扱われることなく能力を発揮できる「当たり前の土台」を整えることにあります。土台がしっかりしてこそ、人が集まり定着するのです。

DEIは小手先の採用戦略ではなく、採用・定着・育成・活躍を一貫して支える経営の基盤づくりとして位置付けることが重要です。経営の在り方を「人間中心の人的資本経営」 へとアップデートすることが、人材危機を抜け出し、選ばれる組織へと変わっていく第一歩なのです。

「公平(エクイティ)」 は多様性を生かすカギ

DEIを推進しようとすると、必ず「一部の人だけを特別扱いするのではないか」「逆に不公平ではないか」といった不満や戸惑いの声が上がってきます。だからこそ「平等(イクオリティ)」と「公平(エクイティ)」の違いを丁寧に整理しておくことが大切となります(図1)。

図1 エクイティは構造的差別を排除する手段

平等は、全員に同じ条件や機会を提供する考え方です。しかし、図1のように立っている場所・背景・事情が異なりますと、同じ踏み台でも「壁の向こうが見えない人」が出てきます。形式的な平等は、一見平等に見えても、結果として一部の人が不利な状況に置かれ続けてしまう可能性があります。

一方で、公平は一人ひとりが置かれた状況の違いを理解した上で、必要に応じて踏み台やサポートを提供し、スタートラインをそろえることを意味します。「えこひいき」や「げたをはかせる」ということではなく、構造的な障壁を取り除き、誰もが力を発揮しやすい環境を整えるための支援なのです。

公平な関わりが実現すると、一人ひとりが「自分は尊重されている」と感じることができ、その人なりの力を発揮しやすくなります。もちろん、完全な公平を実現することは困難です。まずは組織の中にある「小さな不公平」や「不均衡」に気付き、できるところから整えていく姿勢が大切となります。

公平性の重要性について、さらに「多様性」と「包摂性」の関係図で考えてみましょう(図2)。

 【ぬるま湯・グループシンク】同質な人ばかりで異質を嫌う 既存の考えを踏襲し、「ゆでガエル」になるリスクをはらむ * 【過剰適応・同化】「違い」を封印しマジョリティに意識・無意識に適応してしまう 「違い」は埋もれ新しいアイデアは生まれにくい * 【イノベーション創出】多様な人材の特性を生かし新たな価値・イノベーションが生まれる * 【停滞・エコーチェンバー】似た者同士の閉鎖的な環境 内向きなコミュニケーションで変化に対応できない * 【混乱・回転ドア】多様な人材を採用しても、受け入れる土壌がなく離職・モチベーションダウンを招く
図2 「多様性(ダイバーシティ) 」×「包摂性 (インクルージョン)」

一般的には多様性が高く、包摂性も高い状態が理想とされます。しかし、多くの組織がこの象限を目指す過程で、ある落とし穴にはまっていきます。それが「過剰適応」です。

過剰適応とは、マイノリティの側が組織で受け入れられるために、無意識のうちにマジョリティの慣習・振る舞いを過度に模倣してしまう状態を指します。例えば、女性管理職が「男性社会」の慣習に合わせて無理に長時間労働をしたり、休日のゴルフに参加したり、若手や外国籍社員などが場の空気を読んで異論を飲み込んでしまったり。こうした状態は、まるでサイズの合わない靴を履いているような窮屈さを生むことがあります。本人の過度な努力や適応を強いられ「違い」が同質化されてしまい、結果としてイノベーションの芽が摘まれてしまうことにもなりかねません。

公平性は、個々の違いを理解しそれに合わせてツールやリソースを提供し支援する、という「違いを生かす手立て」なのです。これにより、マイノリティの人々は「無理な適応」 や 「あきらめ」を手放し、自分らしさを取り戻して働けるようになります。その結果として、多様な意見が表に出やすくなり、予定調和では生まれない新たな発想や本音ベースの議論が飛び交うようになります。ここから真のイノベーションが生まれます。

あなたの組織は今どこにいますか? 現状を客観的に把握することがDEI経営への第一歩です。

「違い」こそが競争力の源泉に

公平性という土台が整い、多様な人が力を発揮できる環境ができたとき、組織にはどのような変化が生まれるでしょうか。見落としていた視点に気付き改善したり、新たな市場を発見しビジネスチャンスにつなげたり。DEI経営は、組織の「死角」を減らし、新しい価値創造を促すエンジンともなりえます。

ここでは、多様な視点から生まれる具体的なアプローチを三つご紹介します。

自動車の衝突安全テストのダミー人形を平均的な男性体格モデルから女性へ変更 * ジェンダー平等の視点から、公園を女子も使いやすいよう再設計 * 誤飲を防ぐため高齢者や乳幼児が飲みやすい形状へ変更 * トラクターを女性や高齢者が操作しやすく改良 * 男女同数から利用実態に応じて女性用トイレを増加 * 多言語での情報発信、授乳室の設置、ペットの防災対策整備
図3 ジェンダードイノベーション・フェムテック・インクルーシブデザイン

①ジェンダード・イノベーション
長い間、多くの製品やサービスは、無意識のうちに「健康な成人男性」を標準として設計されてきました。しかし、これは裏を返せば、女性・子ども・高齢者・障がい者・外国籍など 「標準に含まれていなかった人々」のニーズを見落としてきたということでもあります。ジェンダード・イノベーションは、性差や身体特性の違いを科学・技術・デザインの観点から分析し、製品・サービスに反映していく手法です。

例えば、自動車の衝突実験は長年「平均的な成人男性」の体格で行われてきました。性差に基づく調査の結果、女性の重傷リスクは男性より47%も高いという事実が判明し、現在は女性用ダミー人形が導入され、より安全な車づくりへと進化しています。

また、農業従事者に女性や高齢者が増える中、「男性を標準とした農機具」は操作に負担があり、事故やリスクにもつながっていました。そこで体格・体力の差を考慮した改良が進み、新たな市場を獲得した例があります。「標準=男性」という無意識の前提を見直すことで、安全性・使いやすさの改善につながりました。

②フェムテック
フェムテックは、女性特有の健康課題(生理・妊娠・更年期など) をテクノロジーで解決することを言います。女性の就業率が高まり、「女性と健康」の課題は職場で重要なテーマとなってきました。経済産業省の試算では、何の支援も行わない場合、1年間の経済損失は3.4兆円に上るとされています。こうした課題に向き合うことは、単に福祉的な配慮をするというだけではなく、巨大な市場を生み出す可能性を持っています。

これまで「個人の我慢」 として扱われてきた問題を、組織や社会が解決すべき課題として捉え直すことで、未開拓の市場を切り開く契機となり、社会課題の解決とビジネス成長を同時に実現する動きが生まれています。

③ インクルーシブデザイン
インクルーシブデザインは、高齢者や障がい者のニーズに着目し、万人に使いやすい製品やサービスを生み出す手法です。代表的な例として、車椅子ユーザーのために設けられたスロープは、ベビーカー利用者、キャリーケースや台車を扱う人にも便利で、今や生活に欠かせない基盤になっています。

ポイントは、マイノリティの当事者を「開発の上流」に巻き込むことです。一人の不便を丁寧に理解することで、結果的にみんなが便利な仕組みへと拡張されていきます。「一人の不便」 = 「誰かの不便」 = 「市場の機会」 という発想でイノベーションを生み出す。それがインクルーシブデザインです。

同質性が招く経営危機 「集団浅慮」

DEIに積極的に取り組む企業が成果を上げている一方で、「余裕のある企業がやる社会貢献活動」「同業がやっているから」 「法律で求められているから仕方なく」といまだに消極的な企業もあります。しかし、こうした受け身の姿勢こそが大きなリスクとなりかねないのです。

グローバル市場では既に、DEIは「ビジネスと人権」に直結する重要テーマとして扱われています。サプライチェーン全体で人権尊重の姿勢が求められる中、企業は投資家や取引先、顧客、地域社会など、多様なステークホルダーに対して責任ある行動を示す必要があります。ジェンダー、国籍、障がいの有無による差別の防止や適切な労働環境の整備などに対応していなければ「人権リスクのある企業」 とみなされる可能性があります。近年は企業規模に関わらず多くの企業に厳しい目が注がれています。

しかし、それ以上に深刻なのは「組織内に潜むリスク」です。近年、DEIの欠如による不祥事に加え、企業側の不適切な初期対応が火に油を注ぎ、社会から厳しい批判を浴びるケースが後を絶ちません。こうした事態が繰り返される背景の一つに、組織内の「思考の偏りやゆがみ」があります。同じような経歴、性別、価値観のメンバーだけで意思決定が行われると、あうんの呼吸で物事が進む一方で、「異論を言いづらい」「空気を読んでしまう」といった心理的な抑制が働きやすくなります。いわゆる「集団浅慮(グループシンク)」と呼ばれる状態です。こうした偏りは、リスク感知能力を弱め、外部から見れば明らかに不自然な判断であっても、組織内部では気付きにくくなってしまいます。

DEI感度の低さは、単に「多様性への配慮が足りない」という問題にとどまりません。結果として経営判断の質に影響し、株価の下落、ブランド毀損、取引停止といった実害にもつながるリスクがあります。コーポレートガバナンス・コードで取締役会や管理職を含む中核人材の多様性を強く求めているのは、イノベーションの機会損失だけでなく、リスクの未然防止にも直結するためです。

DEIは、単なる制度づくりではなく「これからの時代を生き残れる組織かどうか」を判断するリトマス試験紙ともいえます。管理や同質性を重視する「内向きの組織」のままでいるのか、それとも人的資本・多様性という外部との接続点を持った「外向きの組織」 へ進化していくのか。自社の現在地を客観的に見つめることが、健全な経営への第一歩になります。

DEIは、義務感で取り組む施策ではなく、「不確実な時代において、自らの組織を守り、価値を高めるための基盤」として捉えることが、これからの企業経営にとって重要な視点となります。

心理的安全性を損ねる「マイクロアグレッション」

経営層がDEIの重要性に気付かないと、組織の現場にもさまざまな影響を与えます。その典型が「マイクロアグレッション」です。私たちは誰しも、これまでの経験や価値観から形成された先入観や固定観念、思い込みというアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見・思い込み)を持っています。これらは物事を素早く判断する上で役に立つ場面もあり、必ずしも悪いものではありません。しかし、それに気付かないまま発した一言が、相手にとっては否定的な影響を与えてしまうことがあります。

マイクロアグレッションとは、こうした無意識のバイアスが、特定の属性に対して小さな攻撃、侮辱、見下しのような言動となって表面化することで「自覚なき差別」 ともいわれています。

新入社員にしては意外とやるな/女性ならではの感性を生かしてください/障がい者なのに頑張っているね/ (外国人に) 日本語上手ですね

発言者は褒め言葉のつもりだったり、励ます気持ちで言っているかもしれません。しかし、言われた側からすると、自分の能力ではなく「属性ありき」で評価されていると感じたり、違和感、疎外感を覚えることがあります。

マイクロアグレッションは小さなトゲのようなものです。一つ一つはささいなことでも、トゲのような言動を受け続けることでストレスや心の負担となり、パフォーマンスやモチベーション、人間関係に悪影響を与えます。

多くの企業では、生産性向上やチームワークのために「心理的安全性」の醸成に力を入れています。しかし、マイクロアグレッションが見過ごされている状態では、心理的安全性ではなく心理的危険性を高めてしまうことになってしまいます。

マイクロアグレッションへの理解は、職場の心理的安全性を高めるための大切な前提条件になります。自分の言動がどのような影響を与えるのか、相手にどう伝わるのか意識的になり、丁寧な対話を積み重ねることで、誰もが安心して力を発揮できる関係性が育まれていきます。

「対立・衝突」を価値に変える

多様な人材が働く組織では、時に少数派のメンバーが緊張感を抱え、防衛的な反応をしたり意見を控えたりしてしまうことがあります。こうした状況を放置すれば、心理的安全性が損なわれてしまいます。

マイクロアグレッションに向き合う真の目的は、対立や衝突を率直に受け止め、健全な力に変えられる組織をつくることにあります。意見の違いや摩擦が生じること自体は、むしろ自然なことです。重要なのは、その「摩擦の質」です。

マイクロアグレッションが放置された職場では、ささいな意見の違いが対立に発展したり、また相互尊重の欠如が属性への否定的なメッセージや攻撃につながるなど、感情的な緊張関係を生みやすく組織を疲弊させます。一方で、マイクロアグレッションに対処した職場では、対立や衝突は「建設的なエネルギー」に変わり、イノベーションの源泉となる創造的な緊張関係が生まれます。

これこそがDEIが目指す 「ヘルシーコンフリクト(健全な対立・衝突)」です。マイクロアグレッションへの対処は、無意味な足の引っ張り合いをなくし、建設的な議論を始めるための前提条件です。違いを押しつぶすのではなく、価値に転換する。それが、多様性を組織の競争力へとつなげるための大切な一歩です。

成長戦略としての「DEI」が未来を拓く

「リービッヒの最小律(ドベネックの桶)」という法則では、桶に貯められる水の量は、最も長い板ではなく「最も短い板」 によって決まるとされています。これを経営に置き換えてみると、「技術力やブランド力、伝統」といった長くて立派な板があったとしても、「マイノリティへの配慮」や「評価の公平性」などDEIの板が短いままでは、せっかくの人材や成果が流れ出てしまうことになりかねません。土台が整っていれば、採用した人材が長く力を発揮し、組織の競争力を高める原動力となります(図4)。

 ①「トップの強いコミットメント」 * ②フェア(公平な育成・評価・支援) * ③ケア(働き方の柔軟性) * ④キャリア(自律的なキャリア支援) * ⑤コミュニケーション * ⑥心理的安全性の確保 * ⑦属性・数の多様性(意思決定層・社員)
図4 DEIの桶(水は一番低い所から流れ出ていく)

DEIに取り組むことは、この短い板を見つけて補強し、桶(組織) としての総合力を高めることです。以下の七つは、「DEI推進を支える板」として重要なポイントです。自社の現状をチェックしてみましょう。

  1. トップの強いコミットメント: 「なぜ自社にDEIが必要なのか」をトップ自らの言葉で語っているか。
  2. フェア(公平な育成・評価・支援): 属性に関わらず能力が発揮できるようツールやリソースを用意し機会や経験を与え公平に育てる仕組みがあるか。
  3. ケア (働き方の柔軟性): 育児・介護・通院、障がいなど、時間や場所の制約がある社員でも成果を出せる柔軟な働き方が整っているか。
  4. キャリア(自律的なキャリア支援): 社員が自律的にキャリアを描ける支援や、多様なキャリアパスが提示されているか。
  5. コミュニケーション: ハラスメントやマイクロアグレッション、アンコンシャス・バイアスなどに対処し、対話の質が高められているか。
  6. 心理的安全性の確保: 弱さも含めて本音で話せる・行動できる環境があるか。
  7. 属性・数の多様性(意思決定層・従業員): 数を増やすだけでなく多様な属性を従業員、意思決定層に確保しようとしているか。

経営の生命線は、「採用力」以上に、今いる人材を生かし続ける 「定着力(リテンション)」にあるといえます。

多様な人材を採用しても、受け入れる土台 (インクルージョン)がなければ、彼/彼女たちは「ここは自分の居場所ではない」と違和感や疎外感を抱き、すぐに辞めてしまいます。また、現場で放置されたマイクロアグレッションは、悪気のない小さなトゲとなって相手を傷つけ、モチベーションの低下や突然の離職などにつながる恐れがあります。短い板を修復して長さをそろえ、桶の水を満たすのが、公平性に基づいたDEI経営です。

筆者がDEI推進コンサルティングを始めた頃、ある経営者から伺った言葉が印象に残っています。「DEI経営は、変化を後追いするとか適応するためにやるのではない。変化を先取りし、変化を生み出すために行うものだ」。

DEIは、「守り」ではなく未来を拓く「攻め」の経営戦略です。DEIを土台とした経営への転換が、人材危機を「人材好機」へと変え、選ばれ続ける企業になるための確かな道筋です。採用・育成・定着・活躍が循環し、人材が力を発揮し続けられる組織こそが、これからの社会で生き残る強い組織なのです。

もちろん、明確な方針を掲げ、体系的に取り組むことが理想的です。しかし、日々の「小さな経営アップデート」の積み重ねも立派なDEIの実践です。ぜひ、皆さまの組織においても、できることから一歩を踏み出してください。その小さな変化が、やがて組織の未来を大きく変える力になっていくことでしょう。

執筆者プロフィール

  • 荒金 雅子 Masako Arakane
    株式会社クオリア 代表取締役
    • ジェンダーバイアス
    • ダイバーシティークロスローダー
    詳細プロフィールはこちら

    国際ファシリテーターズ協会認定プロフェッショナルファシリテーター(CPF)。
    Standing in the fire認定(2015年)ダイバーシティスペシャリスト。
    日本心理的資本協会認定 PsyCap Master®(心理的資本開発指導士)。

    都市計画コンサルタント会社、NPO法人理事、会社経営等を経て、株式会社クオリアを設立、代表取締役に就任。

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