実績紹介

リピート率7割!富山県の企業が毎年社員を送り出す 「煌めく女性リーダー塾」とは?

投稿日 2025年06月23日
左から 公益財団法人富山県女性財団 牧野様、荒金、君波様、牧野様

導入団体のご紹介

公益財団法人富山県女性財団

今回は、公益財団法人富山県女性財団新館長の君波様、牧野様、前館長の八島様に、富山県における女性活躍推進の取り組みや、同財団が特に力を入れている女性リーダー育成事業:煌めく女性リーダー塾(アクションラーニングコース)についてお話を伺います。富山県女性財団(設立:1996年、所在地:富山県富山市)は、『男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会の実現』を目的に富山県の外郭団体として設立されました。富山県民共生センター(サンフォルテ)の指定管理者として、講演会・セミナー、研修等の開催、女性のネットワークワーキング、情報提供、相談・カウンセリングなど、多彩な事業を展開し、富山県内外から高い評価を得ています。

株式会社クオリアは同財団が進める女性活躍推進に向けた人材育成プログラム:煌めく女性リーダー塾のアクションラーニングコースを2016年よりご支援しています。

公益財団法人富山県女性財団 業務執行理事
富山県民共生センター 館長
君波敦子様

富山市生まれ。お茶の水女子大学被服学科卒業。富山県、公立高等学校家庭科教員として6校で勤務。2025年4月より現職。

同財団 事業課長
牧野圭子様

小学校講師、大学事務補佐員を経て、富山県民共生センター(サンフォルテ)立ち上げメンバーとして、財団法人富山県女性財団に入職(当時は図書館の運営を行う司書職)。煌めく女性リーダー塾が富山県から委託された同塾後から現在に至るまで、本講座の企画、運営、プログラム設計、受講生へのサポート業務などを一手に担う。2016年から現職。

同財団 前業務執行理事
富山県民共生センター前館長
八島美智子様

富山市生まれ。お茶の水女子大学被服学科卒業。富山県、公立高等学校家庭科教員として8校で勤務。2020年より(公益財団法人)富山県女性財団 業務執行理事、富山県民共生センター・サンフォルテ館長を務め、2025年3月退任。

リーダーが語る!事例の紹介

なぜ富山県で「女性リーダー育成研修」が必要だったのか

女性リーダー塾に関して話す対談者

本日はお時間を頂きありがとうございます。富山県女性財団様は、富山県共生センターの運営を通し、富山県の男女共同参画を推進する拠点として、女性リーダー育成やネットワーキング等様々な事業を展開されておられますね。中でも、「煌めく女性リーダー塾」は、企業での女性リーダー育成に特化した連続プログラムとして10年以上継続され、これまでに700人近い女性達が参加してきました。修了後には、管理職など次世代リーダーになられた女性も多く、素晴らしい取り組みだと感じています。クオリアも長年、講座の一部を担わせて頂き、大変感謝しています。
今回は、煌めく女性リーダー塾を継続されている想いなどお伺いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

煌めく女性リーダー塾とは
富山県が主催し、公益財団法人富山県女性財団が運営する「煌めく女性リーダー塾」は、2016年度にスタートした女性リーダー育成のための連続研修プログラムです。 県内企業等に勤務するリーダーをめざす女性を対象に、業種・職種を超えたネットワークの構築と自己研鑽を支援しています。プログラムは「スキルアップコース(係長級を目指す方)」「アクションラーニングコース(課長級を目指す方)」「マスターコース(役員を目指す方)」の3コースから構成され、受講者のキャリア段階に応じた成長を促進。これまでに延べ692名(令和6年度修了現在)が受講し、終了後には受講生同士のネットワークが継続されたり、卒塾生が立場を変えて上司や講師として関わるなど、女性のキャリアを持続的に応援する仕組み(エコシステム)が築かれています。2025年度の塾生も現在募集しています(2025年6月現在。詳細はこちらのページをご覧ください)。

出典: 富山県「煌めく女性リーダー塾」『Good!! Work&Lifeとやま - 働き方改革・女性活躍応援サイト』
https://good-work-life-toyama.jp/joseikatsuyaku/leader(2025年5月18日確認)

富山県の女性就業率と女性管理職比率のギャップ

私は、全国の男女共同参画センターと関わってきましたが、「煌めく女性リーダー塾」のように、10年以上継続している講座は他ではあまり見かけず、大きな特徴だと感じています。そもそも、この講座を始められたきっかけや、当初の思いをお聞かせいただけますか。

富山県はもともと女性の就業率は高いのですが、女性管理職比率が低いという課題がありました。「このままではいけない」という認識は県にも財団にも強くあり、様々な施策を行ってきましたが、企業内で女性リーダーを育てるというのは簡単ではありません。そこで、県内の企業に向けて、女性リーダーを育てる講座を提供しようと考えました。企業が「女性社員を参加させてよかった」と思えるような実践的な講座にするために、様々な情報や実践事例を調べ、企画やプログラム設計を綿密に行いました。

女性リーダー塾の誕生背景とアクションラーニング形式にこだわる理由

女性リーダー塾に関して話す牧野氏、君波氏

県内の企業にヒアリングを行う中で、「他社の女性とつながれること」も大きな魅力であるという声を聴き、多様な企業の女性社員を対象に開催できることも、公的機関が行う強みの一つだと感じました。
また、女性社員からは、ロールモデルが少ないという課題や「私なんかもう管理職にはなれない」「今更リーダーって言われても困る」というあきらめや戸惑いの声も寄せられました。その声から、まずは受講生が自分に自信を持てるような、自分の成長が感じられるような内容が必要だという想いを強くし、座学だけでなく受講者が自分ごととして学べるワーク中心のプログラムを構想しました。

プログラムの設計や講師の質が重要なのはもちろんですが、研修の下支えをする事務局の熱意や姿勢は非常に重要で、研修の成果を左右すると思っています。事務局のサポートが不十分だと、受講者の印象に残らない、形だけの“研修をやりました”という場になってしまう恐れもあります。

おっしゃる通りですね。この講座を長く継続できているのは、県と財団の双方に「女性リーダー育成は今後の富山県に不可欠な取り組みである」という共通認識があるからこそです。
また、担当者が継続的に関与でき、毎年の受講生や卒業生の成長を見守ることができる。その経験を踏まえて、プログラムを改善し続けられることは、我々の大きな強みだと感じています。結果として、受講生はもちろん送り出す企業や主催する富山県の方々に、「煌めく女性リーダー塾はいいものだ」と、お褒め頂いていることは大変励みになっています。

女性リーダー塾に参加した女性達からは、「これまでに社内で受けたことのない研修だった」とよく言われました。

はい、開講当初から現在までそういう声を本当に多く聞いています。おそらく社内ではこのようなマインド醸成を目的とした研修は、なかなか実施されていないのだと思います。だからこそ、アクションラーニングという形式が新鮮で、その経験がモチベーションの原動力になっているように感じます。

育成は「腹落ち」から始まる。行動に変える女性リーダー研修

女性リーダー育成について話す荒金雅子

株式会社クオリアは、2016年よりお手伝いさせていただいています。講座立ち上げの早い段階に、弊社へお声がけいただいたきっかけや理由をお聞かせください。

実はこの講座を始める前から、荒金先生には他の研修でもご協力いただいていました。女性リーダー塾の企画を任されたとき、「これはもうクオリアさんにお願いするしかない」と直感しました。女性が管理職になりにくい背景や無意識のバイアスなど、一般にはあまり知られていない概念も、受講者に伝わる言葉で届けていただける点が非常に心強かったです。

成果発表会も荒金先生にファシリテートしていただいていますが、そのときのメッセージは、上司として参加される企業の方や受講生である女性社員にもすごく心に響くものがあります。 先生の力強い言葉を聞くと、受講生も「よし、会社に戻って私も1回頑張ってみよう」と思い、上司の方も「この女性部下にリーダーを任せてみよう」と背中を押されるようです。私もかれこれ10年間ぐらい、多分毎年お聞きしてるんですけれど、今も毎回感動するんですよね。

その変化を毎年見ていて、「やはりこのプログラムをクオリアさんにお願いしてよかった」と毎年実感します。

なぜ今、“個人に寄り添う”女性リーダー研修が選ばれるのか?

リーダー塾の初期はグループで課題に取り組んでいましたが、今は個人にフォーカスした形に変更されましたね。

グループ発表にも良さはあるのですが、仕事と生活とそしてこの講座ということでそのバランスに苦労する受講生もいました。グループ発表に労力をかけることのメリット、デメリットを考え、またコロナの影響もあり、グループで成果を作り出すというよりも個人の学習と成長を重視する内容に切り替えました。
プログラムを改訂した当初は、協働作業のボリュームが減り、これでよいのかと少し迷った気持ちもありました 。でも、同じ志を持ったメンバーをチームにしたことで、チームに一体感も生まれ、現場での実践を支援しあう関係ができるなど、今は個人のマインドセットに焦点をあてた形にしてよかったと感じます。

実際、現場に戻ったときに求められるのは「自分の言葉で伝える力」や「自分で行動を起こす力」ですからね。

はい、講座を通して「よし!」と腹落ちしてマインドが整った方は、会社に持ちかえりアクションを起こしていらっしゃるんですよね。アンコンシャス・バイアスの研修を企画運営されたり、企業風土を変える提案をされた方もいました。
マインドが育てば、発表だけでなく、会社に戻って実践する力もつきます。特にここ2.3年は、受講生個人が腹落ちすることで、会社に戻った際の学びの実践効果がより高まるのだと実感しています。

オンラインでも“学びを止めない”。受講生をつなぐツール活用の舞台裏

コロナのタイミングで、それまでの対面からオンラインに変更しプログラム日数なども短縮しました。時間数や対面の場の減少を補い受講生同士の交流を促進するために、弊社のオンラインプラットフォーム『アクションフォー』 をご提案し導入いただきました。オンラインツールの活用は前例もなく、ご苦労や不安があったと思います。

アクションフォーは、企業研修後の「学びの定着」と「行動変容」を促進するオンラインツールです。ピア・ラーニング(仲間との学び合い)を活用し、受講者が自らの目標と行動を設定し、日々実践することで、習慣化と成果達成を支援します。専門ガイドによるファシリテーションや進捗管理機能も備えており、研修効果の持続をサポートします。

詳しいサービス紹介はこちらからご覧いただけます。

初めての取り組みだったこともあり、「果たして使いこなせるだろうか」という不安は非常に大きかったですね。最初は「何のツール?」「本当に機能するの?」と県からも多くの質問を受けました。クオリアさんからは何度も様々な資料を出していただいた記憶があります。

そうですね。初年度は特に、慣れない受講生も多く、受講生間のメッセージのやり取りが少ないと、「本当に大丈夫なんだろうか」というご不安があったと思います。

アクションフォーを導入する前、コロナ禍に対面からオンラインへ開催方法を変更せざるをえなかった時期もそうでしたが、私たち事務局が悩んでいるときに、荒金先生や営業担当の方から、実施に向けた丁寧な説明を聞き、『大丈夫』と背中を押していただいたことで、前に進むことができました。導入時は不安が少しありましたが、使ってみると徐々にアクションフォーでの受講生間の交流が活発になってきていて、今では欠かせないツールになっています。

受講生がアクションフォーで質問すると、講師の先生がしっかりと丁寧に答えてくれました。小さな疑問や不安を安心して質問する場がある。そしてそれをすぐに解決して次に進むことができる点は大きいですね。当初は「こんな質問をしてもいいのだろうか」と迷う受講生もいたようですが、講師側が「どんな小さなことでも、ぜひ質問してください」と伝えてくださるので、安心して発言できるようになり、次第に活発になっていきましたよね。

そうです、そうです!本当に毎回どんな細かなことでもきちんとすぐに返してくださるので、「私たちを見守ってくれている」って安心感がすごくあるのだと思います。事務局としても、講座期間中、やりとりをみているのですが「先生こんなに丁寧に答えてくださっている!」みたいに思うことがありますね。講師の先生が本当に丁寧に答えてくださっていて、それがアクションフォーや講座全体が、盛り上がる一つのきっかけにもなったと思います。

私も講座期間中は、アクションフォーを確認するのが楽しみなんです。受講生の書き込みを見ると嬉しくなりますし、やり取りが生まれているのを見ると、こちらも刺激を受けます。
例えば、自己肯定感に関する質問が来れば、「こんなデータがありますよ」「他社ではこういった取り組みがあります」と共有し、それをきっかけに議論が深まるんです。

そうです!「会社でこんな取り組みしたんだけど」って誰が投稿したら、「それを参考にしたいから、詳細を教えて」とさらに誰かが質問して…という感じのやり取りがずっとアクションフォー内で起きていました。

通常、次の研修までの期間が長いと気持ちが冷めたり、忘れたりしがちですが、アクションフォーのようなツールを使うことで、1回きりの講座ではなく、継続的な学びを支える“線”にできます。アクションフォーを通して受講生同士の関わりを深めたり、日々の習慣を投稿しそれが身についたりと、連続講座の強みを最大限生かすことができる仕掛けになっています。

リーダーシップの種を育てる“仲間のフィードバック”と“見える努力”

他の受講生の行動が見えるのもアクションフォーの良さですね。「この人もやってるなら私も」と感じて、アクションが連鎖していく。特にポジティブな投稿をする方がいると、その雰囲気がグループ全体に伝播して、講座全体の熱量が一気に高まる実感があります。

まさに「見える化」の力ですね。自己効力感を高める4つの要素の中に“代理体験”があります。他の人の行動を見たり聞いたりすることで自分も頑張ろうと、意欲が高まったり行動できるようになる。煌めく女性リーダー塾は、業種は違っても共通点の多い受講生が集まっているからこそ、「あの人が頑張っているなら、私もやってみようかな」と互いの姿がよりリアルに響くのだと思います。

さらに言えば、もうひとつの要素“言語的説得”も大切です。講師からのフィードバックも重要ですが、受講生同士がコメントで「すごいですね」「私も頑張ります」と声を掛け合うことで、発言者のモチベーションは確実に上がります。想いを言語化するスキルも上がります。そうした相互の言葉のやりとりが、リーダーシップの素地を育てていると感じています。

“受け身”から“自走”へ、女性リーダー研修が受講生の意識を変えるまで

女性リーダー塾の受講生の行動変容について話す荒金と牧野氏、君波氏、牧野氏、八島氏

事務局として受講生をサポートする中で「ここから変わったな」「本気になったな」と感じるタイミングはありましたか。

最も変化を感じるのは、最終回の成果発表に向けて、自分の言葉で内容を整理し、プレゼン資料を作成するプロセスに入ったときです。これまでの学びを伝えるために「自分の思うリーダー像」そして「自分が今後職場でどのような役割を果たすか」「これからどう行動していこうか」ということを整理しますよね。そこを考える間に、やはり内面的に大きな変容があると感じます。

多くの受講者は会社から推薦を受けて参加されています。スタート時点では少し受け身で、不安や戸惑いを感じながら参加される方も多いのですが、講座を通じて「自分の意思でやってみたい」とマインドチェンジされると、行動が大きく変わっていきます。弊社が関わる期間はおよそ3ヶ月ですが、終盤に向かうほどに受講者の言葉や表現が深みを増して、その人らしく、力強くなっていくのを感じています。

早い段階で積極的に発言・行動する受講生の特徴は、「理念が腹落ちする」ことにあると思っています。例えば、新しい知識を得て、「アンコンシャス・バイアスがこんなに影響があるんだ」とか「女性に特化した研修はこういう点から必要なのね」とストンと腹落ちした方は、その学びを持ち帰りどうしたらいいのか、どう実践するかを早い段階から考え始め、講座の外も様々な勉強を始めたり会社でアクションを起こしたりされる印象を持っていますね。

リピーターが7割「毎年女性社員を送り出したい講座」へ

最近では、毎年同じ企業から複数名を継続的に送り出して頂いている印象がありますが、実際はどうなのでしょうか。

おっしゃる通りです。「女性活躍推進施策を始めたばかりで、何をすればいいか分からないが、まずはこの講座が良いと聞いたので受講させよう」と新規で参加される企業も少しずつ増えていますが、全体の7割ほどはリピーター企業です。中には、年度初めに社内説明会を実施し、毎年必ず1〜2名を送り出してくださったり、一度に3〜4名をまとめて参加させたいという相談を受けることがあります。運営側としては大変嬉しいお言葉ですが、リーダー塾は実践形式・ワーク中心の良さを活かすために少人数制を採用しています。そのため、学びの質を最大化するために泣く泣く「人数を絞ってください」とお願いする場合もあります。

組織の本気が未来を変える!中小企業発「女性を育てる」全社プロジェクトとは

ここ数年はこれまでにない業種からの参加もあり、企業の幅が広がっているように感じます。

はい、昨年度初参加だった小規模の会社は、「女性リーダー育成に本腰を入れて取り組む」という経営層の意思が強く、人事部側も「女性リーダー塾を卒業した後に、社内で彼女たちをどう育てていくか」を見据えてのご相談でした。受講生自身も「講座での学びを社内でどう活かすか」を考えており、講座終了後には社内で発表会を開催。アンコンシャス・バイアスに関する研修を受講生自らが企画するなど、継続的な取り組みに発展していると聞いています。

組織を巻き込んだ素晴らしいアクションですね。

上司を巻き込む成果発表会!「行かされ研修」から「一緒に育つ体験」へ。

上司の参加で高まる信頼と理解

ここ数年の成果発表会では、参加される上司の方々にも変化が見られるようになってきました。とても熱心に耳を傾けてくださる方が増えていますし、上司として参加される女性が増えていたり、初期の受講生がメンターや上司側として参加されることも起こっていますね。

ええ、確かに。たとえばメンタリングが特徴の「マスターコース」では、上司と部下がペアで参加する形式をとっているのですが、ここでも女性上司の割合が少しずつ増えています。アクションラーニングコース初期は上司は男性中心でしたが、直近では上司側の約3割が女性となっています。

成果発表会に上司も参加というと、人事の方からは「上司も必ず来る必要がありますか?」「どうも上司があまり乗り気でなくて…」という声をいただくこともあります。ですが、「せっかくの成長機会ですので、ぜひ」とご案内すると、最初は消極的だと伺っていた上司が、当日には熱心に参加してくださることも多いですね。「来て良かった」と感想を寄せてくださる方も多く、アンケートでも満足度は高いです。

他社の女性社員の発表を聞くことは、上司の方にとっても学びになります。「うちの社員も頑張ってほしい」といった前向きな気持ちが生まれたり、「他社ではこんな取り組みをしているんだ」と視野が広がったり。そういう職場だけでは得られない情報や刺激があると思います。

今年、初めてアクションラーニングコースに参加された企業の担当者を対象にアンケートを実施したのですが、成果発表会に出席された上司のうち、95%が初参加で、満足度はほぼ100%という結果でした。

「自社にもできる」を実感、上司を味方にかえる仕掛けとは

女性活躍推進研修について語る荒金雅子

上司の関与は、女性社員の成長に直結します。「女性社員、頑張れ」だけでなく、「上司であるあなた自身も、どう女性部下を育てるかを考えてほしい」と伝えたいです。

私は、成果発表会の前に上司向けのインプットセッションを設けて、マインドセットを整える時間を設けるのが有効だと思っています。可能であれば、発表会当日に受講生と上司が一緒に振り返りの時間を持つことも効果的でしょう。
たとえば、ある企業で女性リーダー育成を継続的に支援した際、前年の受講生の上司に翌年の講座初回へゲストとして参加していただきました。そこで、「受講してどう変わったか」という本人の話と、「講座を通じて部下を昇進させた」という上司にもお話をいただきました。「期待をかけて声をかけたら、女性社員が力を発揮した」というエピソードは、他の上司にとっても非常に参考になったようです。
女性社員にロールモデルが少ないと言われるように、上司側にも「女性部下をどう育てるか」の参考事例が少ないというのが現状です。だからこそ、成功事例の共有は非常に意義があると思っています。

卒塾生がロールモデルとなり、次の女性をリーダーに育てる

嬉しいことに、受講生の多くが昇進されています。アクションラーニングコースの過去の受講生にアンケートを実施したところ、54名の回答者のうち19名が昇進されていました。

それは非常に高い割合ですね。

昨年、一昨年に受講された方が今年課長に昇進されたという話も伺っています。技術職や営業職、生え抜き社員というわけではなかった方が昇進されたというのは、大変励みになるニュースでした。

ちなみに、その昇進された方の上司も成果発表会の際にお越しくださっていたのですが、皆さんの発表を聞いたあと、「楽しかった!」と笑顔でハイタッチして帰られたんですよ(笑)。

女性の上司がハイタッチして帰られたことを思い出しながら歓談する対談中の写真

(育てられる側も育てる側も)楽しさというのは、やはり重要な要素ですね。女性活躍推進や管理職登用の話になると、どうしても「こうあるべき」「やらなければならない」という空気感が出やすく、無理やりやらされているような印象を持たれることがあります。でも、本質的には“やってみたい”“面白い”という気持ちが伴っているかどうかが、取り組みの質を左右するのだと思います。もちろん、その過程には困難やプレッシャーもあるのですが、それを乗り越えた先にある達成感や充実感があるからこそ、次に向かう力になる。その積み重ねが、次の行動につながっていくのだと思います。

過去に受講された方が、上司として戻って来られるケースも増えています。たとえば昨年度、富山県よりアドバイザーとして認定された方は、「煌めく女性リーダー塾」の卒塾生でした。当時から受講生をまとめる力に長けておられ、講座でもリーダーシップを発揮されていました。
その後、現場に戻られて管理職に昇進され、今回アドバイザーとして講座に関わっていただいています。このアドバイザー制度は企業からの推薦を経て選出されるものですので、その方が「企業の顔」として社外でも信頼されていることがわかります。煌めく女性リーダー塾が、女性のキャリア形成を支援する好循環の起点になっていると実感しています。

女性リーダー育成の拠点として、サンフォルテの果たす役割

君波様は2025年4月に、富山県女性財団 業務執行理事兼 富山県民共生センター 館長に就任されました。前職では富山県内の高等学校で前館長の八島様と同僚として勤務され、校長を歴任されたと伺っております。

これまでとは異なる新天地でのご活躍となりますが、新たな役割を就かれたお気持ちを、ぜひお聞かせいただけますでしょうか。

自分の中高生時代には「ジェンダー」という言葉すら知りませんでした。何となく違和感を抱きつつも、それを言語化できないまま大人になり、女子だけを対象に家庭科を教える中で「これで良いのか?」という思いを抱えていました。男女共修が始まって30年、最初は男子生徒に授業をする際の緊張もありましたが、生徒たちは自然に受け入れていて、むしろ私たち教員側が変わっていく必要があったのだと感じています。

また、「煌めく女性リーダー塾」は以前から存在は知っていましたが、受講生の成長過程や卒塾後の変化などに非常に関心を持っています。今回、館長として関われることに大きな意義を感じており、課題に向き合いながら、この取り組みをさらに良い形で継続していきたいと思っています。

「継続」は本当に重要ですね!

人材育成、その中でも女性リーダー育成は結果が出るまで数年を要す長期的なプロジェクトです。受講生や企業での小さな変化が積み重なることで、将来的には大きなインパクトを生みます。

講座の中でも時々お話ししていますが、私自身もかつて専業主婦からの社会復帰に大きなハードルを感じていた一人です。当時は、スキルも自信もありませんでしたし、実際に足りない部分も多かったと思います。一歩を踏み出す後押しをしてくれたのが、男女共同参画センター(旧・女性会館)や、そこで出会った講師の先生方、そして同じ境遇の仲間たちでした。
この講座に参加されている方々は、長年現場で経験を積まれてきた方が多く、そのスキルや知識に自信がないわけではありません。ただし、もう一つ上のリーダーという役割を担うにあたって、周囲から評価や期待を十分にされていなかったり、「自分に務まるのか」という不安を感じている方も少なくありません。
だからこそ、「自分を信じてくれる存在がいる」と感じられる居場所としての、サンフォルテの役割、煌めく女性のリーダー塾の重要性はますます高まってくるなと感じています。

本日は貴重なお話をありがとうございました。私自身もこの場所に毎年戻ってくることを楽しみにしています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

対談ありがとうございました!

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