対談

クオリアのHPリニューアルを記念して新たに始まった、ダイバーシティ対談。
最初にご登場頂くのは、パシフィックコンサルタンツ株式会社と、その持株会社であるパシフィックコンサルタンツグループ株式会社の代表取締役社長高木茂知様です。クオリアは、パシフィックコンサルタンツグループ株式会社様と、2014年10月にアドバイザリー契約を締結し、4年以上にわたり、D&I推進を支援させて頂いています。
グループ企業の中でD&I経営を牽引するパシフィックコンサルタンツ株式会社様は、2017年、ダイバーシティ経営企業100選に選ばれました。そのトップがめざす持続可能な組織とはどのようなものでしょうか。”多様性の受容”の真の価値とは。女性活躍の一歩先を目指した取り組みについて伺いました。


左:パシフィックコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役社長 高木茂知様
右:株式会社クオリア 代表取締役 荒金雅子


「女性活躍」だけに終わらないダイバーシティ&インクルージョンへ


荒金:本日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございます。御社とのおつきあいは、2014年7月の女性社員を対象とした、ダイバーシティフォーラムに登壇させて頂いたことがきっかけです。

高木社長:2010年にワークライフバランスの取り組みをスタートし、2013年にダイバーシティ推進室(現・D&I推進室)を立ち上げました。当社は、昔から能力や結果に応じて評価する、男女で差をつけない仕組みになっており、若手や女性が発言しやすく、意見を自由に言いやすい風土がありました。さらに、多様性を受け入れ活かす(インクルージョン)組織作りをめざし、女性社員全員を集めたダイバーシティフォーラムからそのスタートを切りました。

荒金:参加した総勢100名近い女性達は高い意識を持ち、会社への貢献意欲にあふれていました。自社の課題や女性自身の意識について積極的に話し合い、自分達が活躍するためのアクションを堂々と発表する姿は感動的でした。印象に残っているのは「日経コンストラクション」という業界紙の表紙を自分達が飾りたい、という発表でした。腕を組んで自信に満ちた表情で表紙に登場する御社の女性達を想像しただけで、ワクワクしてきました(笑)。

高木社長:業界の専門誌ですから、建物や橋梁、ダムなど構造物が多く、人物が表紙を飾ったことはありません。そうなるとおもしろいですね。



D&Iは会社を強くしていく根幹である


荒金:改めて御社にとって、D&Iに取り組む意義は何でしょうか。

高木社長:グループ会社全体で、「長期経営ビジョン2030」を策定しています。
「社会に革新的な価値を提供」「ダイバーシティ&インクルージョン」という2つの取り組みによって、「社会サービスの変革をプロデュースし、未来を創造する企業」となることをめざしています。


『長期経営ビジョン2030』の図
 パシフィックコンサルタンツ株式会社発行冊子「ダイバーシティ&インクルージョン推進方針」P4より引用
(クリックして拡大)


荒金:D&Iが長期経営ビジョンの重要なテーマとなっているとは、素晴らしいですね。

高木社長:D&I推進は単に将来の担い手を確保するということにとどまらず、当社が様々な社会環境に対応して成長し、強くなるために不可欠なのです。
当社はこれまで、一人ひとりが自律したコンサルタントとしてプロフェッショナルな仕事をすることで成長してきました。それはとてもよかったのですが、一人でできることは限られています。これからはいろいろな分野の多様な人と協働することが不可欠な時代です。

荒金:確かに、属人的な仕事が多くなると、どうしても「人」への関心が低くなったり、「依存しないこと」をよしとする風潮が生まれやすい気がします。お互いが自律しながら、時には頼ったり助け合うという「共依存」の関係こそが重要なのですね。


トップダウンとボトムアップでD&Iを実践

荒金:御社の取り組みは、非常に実践的だと思うのですが、中でもトップダウンとボトムアップ双方の推進体制を作られていることは注目すべきことだと思います。

高木社長:組織を変革しイノベーションを生み出すためには、経営者がD&Iの重要性を認識しないと難しい。トップダウンでは、役員を含むトップ層によるD&I推進プロジェクトチームを設置し、D&Iの進捗状況について確認し合いました。一方、現場からの主体的なアクションも重要です。ボトムアップでは、全国15組織(本社・支社・事業本部)にワーキンググループを設置し、テーマを決めて活動しました。2つの組織が一緒に活動したところもありました。
ワーキングは年に1回、その活動成果を発表する場を設けました。2016年は「D&Iの体感」、2017年は「D&Iの体現」をテーマに活動し、優れたチームには表彰もしています。

荒金:毎回審査員としてお呼び頂いていますが、どのグループもそれぞれに職場での調査や実践を行われていて、具体的な成果につながっているなと感じています。

高木社長:ワーキンググループのメンバーは、年齢や性別の多様性を意識して構成されています。2年間やってみて気づいたのは、やはり組織によって特徴があるということです。多様性があり、それを十分活かしているグループもあれば、人員構成そのものに偏りがあったり、D&Iがまだ十分腑に落ちていないグループもありました。多様性が少ないと活動自体もあまり活発ではなかったんですよ。今後は、組織毎といった縦割りではなく、横串を通すような取り組みも必要だと感じています。


組織と人をつなぐ「ハブ」が重要に



荒金:横串を通すという意味では、多様な人をつなぐ「ハブ」になるような存在がますます重要となりますね。活動をつなぐ、広げるための「ハブ」。多様性があるということは決して楽なことではなく、対立や衝突が起こる火種になることもあります。安心・安全の「場」は決して自然にできるのではなく、それをきちんと担保する人や仕掛けがあってこそ、うまく機能するからです。

高木社長:いいことをおっしゃって頂きました。まさに「ハブ」は、当社のめざすところです。
長期経営計画では、すべての社会インフラのハブとしての企業になることを唱っています。

 社会インフラサービスには、企画、調査・計画、設計、施工、運営、改善提案があり
 ここに関わるステークホルダーは官・民・地域の人と多岐にわたります。
 当社が「ハブ」となり、社会インフラ関連サービスを統合し、ステークホルダーを
 つなぎ未来をプロデュースしていくという姿を目指しています。


当社がめざしているのは、まさにハブ機能を持つ組織、ハブとなる人を育てることです。
社内だけではなく社外の人、異業種の人とも広くつながり、コミュニケ-ションを増やしていきたいと考えています。

荒金:以前、御社にご紹介頂き、日本土木学会でダイバーシティについて話題提供させて頂いたことがありますが、2015年には「土木学会ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を策定されました。最近、業界内だけではなく多様な業界、分野の人が集まり、社会課題や共通のテーマについてコラボレーションをする動きが活発化しています。「未来のステークホルダー」という言葉がありますが、一見関係のない組織や人が集まることで創発が生まれ、新しいイノベーションにつながる取り組みです。

高木社長:日本では、土木と建築は分かれていてあまり協業がないんですよね。海外は比較的一緒にいろいろやっていると聞いています。こういったところにも積極的に取り組んでいきたいですね。

荒金:以前、御社で対談させて頂いた若手女性社員の方からD&Iの勉強会をやっていると聞きました。その勉強会のD&Iの「I」はインクルージョンではなく、イノベーションなのだそうです。ダイバーシティから新しい価値を生む。インクルージョン&イノベーションは御社のめざす一つの姿かもしれませんね。


未来の一歩先を行く、D&Iへ

荒金:D&I推進に取り組まれて5年近くが過ぎましたが、なにか変化や成果は感じておられますか?

高木社長:難しい質問ですね。D&Iはやって当たり前のところがあり、目に見えて大きな変化を感じにくい。その中でやり続ける難しさはあります。それに我が社の社員は、ほめるのが苦手なようで(笑)。できていることよりも改善点を指摘してくれるんですよね。制度づくりやイベントが目立つので、イベントをやることがD&Iじゃないよね、といった反応になることがあります。

荒金:そうですね。「変化」というと目に見えた大きな変化を期待しがちです。管理職比率や業績、従業員満足度等の数字的な変化ですね。D&Iがもたらす成果はそのような定量的なものよりも、むしろ定性的な変化の方が多いのかもしれません。職場の雰囲気がよくなった、コミュニケーションをとる機会が増えた、新しいアイデアが出やすくなった、などのように、数字には表れないけれど、よいエピソードが生まれてくる職場には間違いなくD&Iが浸透し始めていると感じています。

高木社長:長期経営計画の策定では、若手社員30名程度を全国から集め「チーム2020」として関わってもらいました。D&Iという言葉を使わなくても、職場やビジネスの現場にD&Iが浸透していく仕掛けが必要だと考えています。やっていることそのものがD&Iの理念に基づいている。新たな価値を生み出す取り組みの根底には必ずD&Iがある。そういう状態を作り出したいですね。

荒金:まさに長期経営計画のめざす姿がそこにありますね。
「社会に革新的な価値を提供する」ことと「ダイバーシティ&インクルージョン」。その両輪を原動力に成長していくという、御社の本気度を改めて感じました。これからも微力ながら、御社のD&I経営に貢献できればと思います。
本日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございました。



次回「未来の一歩先を行くために~D&Iが企業を強くする!②」では、パシフィックコンサルタンツ株式会社D&I推進室長 兼 PCIGグループ経営企画部企画室 飯島玲子様にお話を伺います。

中央:パシフィックコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役社長 高木茂知様
左:パシフィックコンサルタンツ株式会社D&I推進室長 兼 PCIGグループ経営企画部企画室 飯島玲子様
右:株式会社クオリア 代表取締役 荒金雅子