ブログ

ムハマド・ユヌス 再会

2008年ソウル世界女性会議にて

スイスのGlobal Summit of Women2019(GSW2019)で、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏と3回目の再会を果たしました。

2006年のノーベル平和賞受賞者であるグラミン銀行総裁のムハマド・ユヌス氏。経済学者だったユヌス氏は、1974年のバングラデシュの大飢饉をきっかけに、貧困に苦しむ農村女性を対象にマイクロ・クレジット(無担保小口融資)を開始し、現在では600万人を越える人々が利用しています。この取り組みが評価され、2006年にグラミン銀行とともにノーベル平和賞を受賞しました。


ピアレンディングプログラムで女性起業家を支援するグラミン銀行


当時勤めていた働く女性を支援するNPOでは、女性起業家支援に力を入れていました。女性起業家が成功するために必要な要素はたくさんありますが、特に不可欠なものは、「強い意志」「営業力」そして「お金」です。女性にはお金を貸さない、男性を保証人にしろという金融機関もまだまだ多い時代でした。

そんな中、「女性起業家と金融機関のマッチング」テーマに国際シンポジウムを企画することになり、まず注目したのは、カナダのバンシティ信用組合(本店バンクーバー 組合員28万人)です。

バンシティは、少人数の女性起業家をグループ化し、それに対して少額の無担保融資などを通じて支援するピアレンディングプログラム(PLP)で成功しているカナダ最大の信用組合です。さらに、バンシティについて調べていくと、そのルーツはグラミン銀行にあることがわかりました。


「ユヌスさんを呼びたいが、コネはなし」から、はじまった奇跡


グラミン銀行とユヌスさんについて調べるほど、素晴らしい人物であることがわかり、彼を呼びたい、という気持ちが膨らんできました。

けれど、コネクションは何もない。日にちも場所もすでに決まっている。招聘する交通費も十分な謝礼もない。そもそもバングラディッシュにいるユヌスさんと、どうコンタクトをとるのか?
それでも、やらない後悔をするよりも「まずは行動」と考えた私は、早速ユヌスさんにつながるあらゆる情報を検索しました。

そして、ユヌスさんが次の土曜日に福岡で講演されると知ったのです。すぐにコーディネータ―をされていた名古屋大学の国際開発学の先生にメールと電話をさし上げ、事情を話しました。

先生のお返事は「じゃあ、福岡に会いにくれば?」というもの。そう言われたら行くしかありません。

それから後のできごとは、まさに奇跡としか言いようがない展開でした。

会場に到着した私は、受付で事情を話すとすぐに開演前の控室に通されました。そこには出演者の方達が打ち合わせを終え歓談される姿が。もちろんユヌスさんも!

恐る恐る、名古屋大学の先生にご挨拶をすると「あら、よく来ましたね。今なら時間があるし、直接話したら?ユヌスさん。彼女、話があるそうですよ」と、いきなり紹介されました。

「えっ!今ですか?」

突然の展開に全く心の準備ができていない。しかし、このチャンスを逃すわけにはいかない。腹をくくりユヌスさんの隣に座る。突然の来訪者をにこやかに出迎えてくれたユヌスさんの笑顔に、緊張しつつも、通訳を介しながら事情を説明しました。

シンポジウムの意義やユヌスさんが来てくれたら、どれだけ日本の女性達が勇気づけられるか、インパクトのあるシンポジウムにできるか、夢中で話す私をにこにこと見つめながら、秘書の方となにやら話を始めました。そして一言こういったのです。

「OK。I will attend.It’s my pleasure」

一瞬、シンプルな英語の意味が解りませんでした。

「OKって?本当に来てくれるの?日時も場所も決まっているし、何よりお金もわずかしか払えないのに」


ユヌス氏の信念。女性起業家は社会を変える!


よく話をきいてみると「イベントの前日に新聞社の招きで来日することが決まっており、その日は午後から時間がある。」とのこと。しかも「あなたのやっていることは意義のあることだからお金はいらない」というのです。

これを奇跡といわずして、なんといえばいいのでしょう。

こうして2002年1月21日、ユヌスさんをお招きしたシンポジウムは大成功となりました。
ユヌス氏は何度も強調していました。

「グラミン銀行は女性にしか融資しない。なぜなら女性はそのお金を自分のことではなく、家族や村や社会をよくするために使う。仲間を支援しながらみんなで成長できるように使ってくれる。わずかなお金を貸すことで、彼女自身だけでなく、社会全体がよくなっていくから」

常に女性の側に立ち、女性を信頼し、女性を勇気づけてくれる素晴らしい方でした。


GSWで、ユヌスさんと2度目・3度目の再会


ユヌスさんと2度目の出会いは、2008年韓国で開かれた世界女性会議でした。
すでにノーベル平和賞を受賞され大人気のユヌスさんでしたが、私のことを覚えていてくださり、再会をとても喜んでくれました。



そして、3度目は今回のGlobal Summit of Women2019(GSW2019)。ユヌス氏はグローバルウィメンズリーダーシップ賞を受賞されました。相変わらずのお元気さで、女性たちを大いにモチベートしていました。

Global Summit of Women2019(GSW2019)のグローバルウィメンズリーダーシップ賞とは、世界で女性活躍推進に貢献された方が選ばれます。過去にも国連高等難民弁務官の緒方貞子氏(2010年北京大会)や、国連事務総長パン・ギムン氏(2011年インスタンブール大会)、チリ大統領ミチェル・バチェレ氏(2009年サンディアゴ大会)など、世界的な指導者やアクティビストが受賞しています。

今回のユヌス氏の受賞理由はもちろんグラミン銀行を創設し、長年にわたり女性の起業家支援に尽力されたその功績を称えたものです。誰が受賞するのか当日まで隠されていましたので、本当にうれしいサプライズでした。

そして、何よりも心を動かされたのは、ユヌス氏のスピーチにモチベートされた世界中から集まる女性たち(参加者)のパワフルさ。Global Summit of Womenに来るたびに、世界はすでに女性の力なしでは機能しないということを実感させられます。

一方、日本では女性の政治家やアクティビストはまだまだ少なく、残念ながら政治や経済の端にいる状態です。次にユヌス氏にお会いするときは、日本の女性たちが自ら意思をもって前に進み、大きな変化の源となり社会をよりよくするために行動している姿をお見せしたいものです。


今年で29回目となるGSW(グローバルサミットオブウィメン)に出席してきました。

「女性と経済」をテーマに、世界中の女性リーダーが集い、最新のデータとトピックについて様々な角度から意見を交換する貴重な場。私は、2007年のベルリン大会から毎年欠かさず参加しており、13回目となります。

今年は、世界70カ国から1065名の参加者が集まりました。参加上位国はタイ、ベトナム、中国、カザフスタン、フランス、アメリカ、韓国、スペイン、モンゴル、コンゴ、カメルーン、日本など。
日本からは神戸女学院の学生11名を含む30名以上が参加しました。

GSW2019のテーマは「Women:Redefining Success」


「女性と経済」がコンセプトのGSWにおいて、女性の真の成功とは何を意味するのか。
「成功」の意味を再定義する大会にもなったようです。

過去10年を振り返ると、ワークライフバランスやメンタリング、セルフブランディング、リーダーシップ開発、インクルージョン、STEAM、デジタルエイジなど、その時々のキーワードが話題となっていますが、トピックとして、Well BeingやSDGsなどのキーワードが飛び交っていたのも今年の特徴。

初日のウェルカムディナーでは、チュニジアから参加した4人組と同じテーブルでした。2017の日本大会には20名以上が参加したそうで、仕事で来日した方もいて、話が弾みました。すぐに仲良くなれるのも、GSWのなせる業です(^-^)


2019年6月30日、吉田晴乃さんがご逝去されました。
突然の出来事に、ご遺族や関係者の皆様のご心痛、いかばかりかとお察し申し上げます。心から哀悼の意を捧げます。

私は世界女性会議2019(GSW2019)に参加するために訪れたスイス・シェルマットでご訃報に接しました。

吉田さんとはW20運営委員のメンバーとして一緒に活動していました。G20大阪終了後も、8月に福岡で開催されるイベントにご一緒に登壇することになっており、当日の企画進行について帰国後に詳細を話し合う予定でした。

出国前は吉田晴乃さんの快活でパワフルなお姿に二度と会えなくなるとは、思ってもいませんでした。この突然のお別れに、雷に打たれたようなショックから立ち直れないまま、スイスから帰国し、この追悼ブログを書いています。

吉田さんと初めてお会いしたのは、2016年の夏。
2017GSW東京大会の実行委員を拝命した際に、吉田さんも副実行委委員長として就任されました。持ち前のパワーと戦略的な視点、豊富な人脈を駆使し、GSW2017東京大会成功にむけてご尽力くださり、非常に頼もしく心強い存在でした。



吉田晴乃さんは、常に前向きでポジティブ。就職を目前にした大学4年生の時に大病を患い入社を辞退。キャリアのスタートで挫折感を味わいながらも、それを乗り越え、海外に活路を見出し、常に前を向き続け、道を切り開いてきた素晴らしい方でした。

そんな吉田さんと、2019年W20の運営委員でもご一緒できたことは、本当に幸せな思い出です。

ハードなスケジュールとタイトなタスクの中、W20の実行委員が一丸となって、関連イベントの企画運営やW20の開催、W20の共同声明をG20首脳宣言に入れるためのロビー活動などを精力的に行ってきました。そして、首脳宣言は、W20の目指した重要項目の多くが、しっかりと取り入れられた素晴らしい内容となりました。

W20最終日には、イヴァンカ・トランプ米大統領補佐官と、オランダのマキシマ王妃が出席された「女性のエンパワーメントに関する首脳特別イベント」にも出席し、女性活躍が世界経済の成長に不可欠という力強いメッセージを発信されました。W20の成功は、運営委員の誰一人が欠けてもなしえなかったことですが、とりわけ吉田さんの明るくパワフルな言動や大海を進む帆船のような力強い推進力のおかげだと感じています。

相手が誰であろうが飾らず率直に発言されるお人柄に勇気とパワーをもらった人は多かったのではないでしょうか。
私ももちろんそのひとりです。吉田さんはその特筆した才能とエネルギーをもって、他の女性をエンパワーすることも惜しまない方でした。

そんな吉田晴乃さんと3月にリッツカールトン大阪にてイベントを開催できたのは、今思い返せばかけがえのない贈り物をくださったという気持ちです。


大阪のイベントについて詳しいレポート、こちらからご覧いただけます。

G20が大阪で開催されるのに、肝心の地元大阪では、W20の認知度と関心は低く、「地元の大阪で働く女性にとって、W20が少し遠い世界の話になっていないか」と気がかりでした。

そんな話を吉田さんにすると、「G20が開催される大阪で元気な女性たちに会いたいわ」とおっしゃってくださり、イベントが実現したのです。

せっかくお越しいただくので「これまでにないインパクトのある内容にしましょう」と吉田さんといろいろ相談しました。一方的な講演やパネルディスカッションのようなお決まりのパターンではなく、吉田さんと会場の女性達が一体となって、イベント終了後にはW20をきかっけに女性達の大きなアクションを起こしていく場にする、そんな工夫を随所に仕掛けました。

楽しいことが大好きな吉田さんは、とても気に入ってくださり、「今までいろいろなところで話したけれど、最高に楽しいイベントだったわ」とお褒めの言葉を頂きました。

イベントでは、多くの女性たちの悩みや相談に貴重なメッセージをくださいました。
キャリアアップに悩む女性には、「どんどん自己投資して。そうするとそれまで蓄積してきたものが毛穴からにじみ出るようになるの。その人がどんな人生を歩んできたのか、よくも悪くも、もう隠せない。どんな人になりたいのか、毛穴で感じてほしい」と激励しました。

男性ばかりの組織の中でキャリアを創る大変さを嘆く女性には、「相手を変えようとしてはダメ。相手を否定したり責めたり、対局を作ってもうまくいかない。まずは自分が変わること。風に帆を張って進むヨットにように、波を乗り越えていって」と温かく励まされていたのが印象的でした。

大阪の女性のパワーをほめてくださり、次のステージに私たちを押し上げてくれました。

「2025大阪万博をウィメンズエキスポにしましょう。女性の力で経済に良い循環を作りましょう。一緒に大阪から日本を、いえ世界をよりよい社会に変えていきましょう」

吉田さんご自身が、大きな帆船として、大きな波を乗り越えながら、社会を変革へと、率いていくリーダーでした。

レディガガの「born this way(この道に生まれた)」をこよなく愛し、ココ・シャネルを尊敬する吉田さん。3月のイベントでは、参加者に直筆のサインを入れて下記のようなメッセージカードを手渡されました。


KEEP YOUR HLLES,HEAD&STANDARDS HIGH 
(COCO CHANEL)

「人生の試練から大市場を作り出したココ・シャネル
粋でわがままで、強がりで、最高にチャーミングなビジネスリーダー」
私の永遠のロールモデルです。


吉田さんにとって、ココ・シャネルは永遠のロールモデルだったそうですが
吉田晴乃さんは、間違いなく日本の女性たちと私にとって永遠のロールモデルとなるでしょう。

本当に粋でパワフルで、目が離せないぐらい、最高にチャーミングな方でした。
彼女が残してくれた多くのメッセージを私たちが引継ぎ、前進していくことが、最大の恩返しだと考えています。


荒金


6月28日、日本が初の議長国となるG20が大阪で始まりました。
世界20カ国の首脳が集まる、政治、外交、経済、貿易、環境など様々なテーマで熱い議論が交わされています。


G20には様々な分野の専門家やNGO、NPOが首脳たちに政策提言を行うエンゲージメントグループがあります。
その一つW20(Women20)の運営委員としてかかわってほしいと、お声がけ頂いたのは、ちょうど1年前の2018年6月のことでした。



その後、様々な分野のエキスパートが集結し、短い準備期間の中で怒涛の日々を過ごし、3月23日、無事安倍首相にコミュニケ(共同声明)を手渡すことができました。

W20は外務省のWAW(国際女性会議)との共催により、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんをお招きし、のべ3000人以上が参加するという一大イベントとなり、W20の存在を広く知っていただくよい機会となりました。





しかし、私たちW20運営委員の活動はここからが本番です。首相の手渡した共同声明の内容を、いかにG20首脳宣言に盛り込んでもらうのか。めざすはアルゼンチンの首脳宣言にうたわれた、「あらゆる政策にジェンダーの主流化を(ジェンダーメインストリーム)」を実現するというものです。

それを叶えるべく、W20企画運営委員としても、ダイバーシティ推進に関わるものとしても、本日からのG20首脳宣言に「どれだけW20のコミュケ(共同宣言)の内容を盛り込めるか」、粘り強く真摯なロビー活動を続けてきました。

そして、迎えた地元大阪でのG20。今日の首脳宣言でどのような内容が盛り込まれるのか。
日本のダイバーシティ政策の大きな節目として、記念する日となることへの期待が膨らんでいます。

みなさん、どうぞサイドイベントのメディア報道、そしてG20の首脳宣言に、ご注目ください。

企画運営委員を拝命したときは、ちょっと(いえ、今から思えば相当)本当に私でよいのか、役目が果たせるのかという不安と緊張感にさいなまれたことが多々ありましたが、本当にかけがえのない体験をさせていただきました。
これからも日本や世界のダイバーシティ推進を目指して、かけぬけていきます!




この人と語る 多様性の未来 Vol.3

弊社代表荒金雅子が今、最も注目する各界のキーパーソンを招いて「多様性の未来」について語る対談企画。
Vol.3は、パナソニック株式会社アプライアンス社CS統括本部企画部部長兼、サービスサポートセンター所長の今村佳世様にお話を伺いました。是非お読みください。



この人と語る 多様性の未来 Vol.3 「~VUCA時代を生き抜くキャリアの創り方~ 自信と行動力を手に入れるモチベーションマネジメントのあり方とは」